この記事の要約
筋肉を成長させるためにはトレーニングの量を調整する必要がある
目的により適切なボリュームは異なる
前回の記事では、過負荷の原理を達成するための「負荷(強度)」設定について解説しました。
しかし、筋肉を成長させるためには、もう一つ「量(ボリューム)」という重要な要素があります。
ボリュームとは、簡単に言うと「(重量 x 回数 x セット数)の総量」のことです。
いくら重い重量を扱っても、1セットだけでは筋肉への刺激は不十分かもしれません。
逆に、セット数が多すぎると、疲労が溜まりすぎて回復が追いつかず、逆効果になることもあります。
ここでは、「筋肥大」「筋力向上」「筋力維持」の3つの目的に分け、それぞれに適したセット数の目安をご紹介します。
【目的】
見た目の変化、たくましい体つき、ボディラインのメリハリを目指す。
【考え方】
筋肉に十分な「刺激の総量」と「代謝的ストレス(パンプ感など)」を与えることが最も重要です。
【目的】
より重い重量を持ち上げたい、スポーツパフォーマンスを高めたい。
【考え方】
筋肉のサイズよりも、神経系の適応(脳が筋肉に「もっと力を出せ!」と指令を出す能力)を引き出すことが鍵となります。
【目的】
多忙な時期や減量期に、今ある筋肉をなるべく落とさないようにする。
【考え方】
筋肉を「維持」するために必要なボリュームは、「増やす」時よりもずっと少なくて済みます。
「最小有効量」で効率よく刺激を与えることがポイントです。
| 目的 | 1種目当たりのセット数 | 1部位あたりのセット数 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 筋肥大 | 3~5セット | 10~20セット | 筋肉の「総仕事量」を重視。週2回以上に分けて刺激するのが効果的 |
| 筋力向上 | 3~6セット | 10~15セット | 1セットごとの質を最優先。インターバルを長く取り、神経系を回復させる。 |
| 筋力維持 | 1~3セット | 5~9セット | 少ないセット数でもOK。「ゼロにしない」ことが重要。強度は維持する。 |
これらの数値はあくまで一般的な目安です。あなたのトレーニング経験(初心者か上級者か)、回復力、そしてその日のコンディションによって最適なボリュームは変わります。
自分の体と相談しながら、まずは基本のセット数から始めてみてください。そして、成長の様子を見ながら少しずつボリュームを調整していくことが、理想の体への確実な一歩となります。
Studio Nibble代表
松本 崇寿