この記事の要約
ダイエットにこそ筋トレ
筋肉量の維持こそが、ダイエットの成功とリバウンド防止の鍵
前回、体脂肪は「安静時」に最も燃えやすいこと、そして安静時の代謝を高めることが重要だと解説しました。
今回は、「じゃあ、どんな運動をすればいいの?」という疑問にお答えします。
「痩せるためには、まずランニング(有酸素運動)だ!」と思っていませんか?
もしあなたの目的が、リバウンドのリスクを減らし、健康的で美しいプロポーションを手に入れることなら、その考えは一度見直す必要があります。
結論から言うと、食事管理を前提とした場合、ダイエットにおいて
最も重要で、最初に行うべき運動は「筋トレ(レジスタンストレーニング)」です。
この結論のヒントは、「ボディビル」という競技にあります。
彼らは、「筋肉量(除脂肪体重)を可能な限り維持し、体脂肪だけを極限まで減らす」ことのスペシャリストです。
これは、一般的なダイエットの理想形(体重を落としても、筋肉は落とさずメリハリのある体を保つ)と、本質的に同じ方向を向いています。
では、なぜ彼らは「有酸素運動」よりも「筋トレ」を優先するのでしょうか?
それは、筋肉量の維持こそが、ダイエットの成功とリバウンド防止の鍵だからです。
代謝の維持・向上
筋肉は、安静時でも多くのカロリーを消費する「エンジン」です。
筋肉量が維持できれば、基礎代謝が落ちにくく、痩せやすい状態を保てます。
リバウンド防止
食事制限だけで痩せると、脂肪と共に筋肉も失われます。
その結果、代謝が落ち、ダイエット前より太りやすい体に。筋トレはこれを防ぎます。
プロポーションの向上
体重が同じでも、筋肉がつけば体は引き締まります。
美しいボディラインは、筋肉によって作られます。
ある研究(※1)では、ボディビルダーが減量(除脂肪)を行う過程で、体脂肪量は平均36.3%も減少したにもかかわらず、筋肉量(除脂肪体重)の減少はわずか2.7%に抑えられたことが示されています。
これは、減量中に高強度の筋トレを継続することが、筋肉の損失を強力に抑制することを示唆しています。
食事管理+筋トレをすることで筋量を維持し、結果として効率よくダイエット(除脂肪)を成功させているのです。
この効果は、一般の方が週1〜3回の筋トレを行う場合でも同様に期待できます。
また、トレーニング初心者の方であれば、ダイエット中(アンダーカロリー)であっても、筋肉量が増加する可能性もあります。
ダイエットの運動を「消費カロリー」だけで選ぶのは、もうやめにしましょう。
代謝という根本的なエンジンを強化するために、運動する優先順位として、まずは筋トレを習慣にすることから始めてみてください。
次回は、有酸素運動やHIITの役割、そして女性が抱きがちな「ムキムキになりたくない」という疑問にお答えします。
※1 (参考文献) ボディビルダーの減量における身体組成の継時的変化 (岡田 隆1,2), (池田 未里1,2)
Studio Nibble代表
松本 崇寿